八角結城は困っていた。
右手には小さな果物ナイフ、左には小さなテレビのような物を持って、部屋の隅に立っている。
民家の居間。前には朝日極、山田園、森田美里。
包丁を手にした3人に囲まれている形だ。
「・・・ねえ、みんなどうしたの?」
「・・・」
反応はない。
さっきからずっとこの状態である。
3人の黒目の部分はいつもより赤い・・・むしろ白い兎のようだ。
「いたる?おその?もりたちゃん?何?何なの?私、何かしたの?」
「・・・こ・・・」
山田が口を開いた。
「え?何?」
何か言っているのは聞こえたが最後まで聞き取れなかった。
「ころ・・・ころす殺す殺す」
そして
「殺してやる!!」
3人がかけ声のようにそろって叫んだ。
それぞれが包丁を振りかざし、八角に襲いかかろうとした。
「・・・しょうがない、なッッ!!!」
3人の包丁をすべて振り払い、手から放した。
包丁は床に落ちた。
と同時に持ち主であった3人も崩れるように倒れた。
外傷は全くない。
だがそれから3人は全く動かなかった。
「森田ちゃん?」
一番近くで目を開けたまま倒れている森田の肩を揺すった。
反応はない。
「・・・・!!・・・息・・・してない?脈・・・」
手首を軽く握るが脈打ってる感じがまったくしない。
他の2人も。
近くに落ちていた包丁を見た。
手に取ろうとしたが、やめた。
何か赤く光る印のようなものがあって、それがとても危険に思えたからだ。
開きっぱなしの彼らのまぶたを閉じて、民家を後にした。
瞳の色はいつもと同じにもどっていた。
「あさちゃん・・・」
手の中のデジカメくらいの大きさのモニターをみつめる。
赤く動く点を追って、中学校の方へ向かった。
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