根岸杏は込み入った住宅街にいた。
道が全くわからない。
とりあえず袋に入っていた銃は手から放さなかった。
使い方は全くわからなかったが気休めにはなるはずだ。
話し声が聞こえた。
ゆっくりと進み、角で壁に背中をくっつける。この先に、だれかいる。
つばを飲み勢いよく飛び出し、銃を声の方へ向けた。
「はへ?」
そこにはきょとんとして座っている知った顔があった。
木村優、加瀬結、椎名真紀、五十嵐さと、小村由喜乃、斉藤裕里。
6人はもはもはと支給されたパンを食っていた。見知らぬ民家の庭で。
この顔で人を殺すとかそんなことなんか考えているはずはない。
いつもとかわらない。
銃をおろす。
「あぁっ杏ちゃんだあ!びっくりした」
優が間の抜けた声で言った。
「ふぅっ」
なんだか一気に気が抜けた。
さっき銃声が聞こえたから焦っていたのだけど。
やっぱり、こんなゲーム参加しようとする人は少ないみたいだ。
「お前ーなんも食べてなさそうだな。体に悪いぜぇ。こっち座って食べなよ」
加瀬が提案した。
「うん」
と言って近くにあったちょうどいい石にすわった。
みんなからは微妙に離れてたけど地べたよりかいい。
「ああ、あとねえー沙羅ちゃんもいるんだよ。今お水くみにいった」
「へぇ」
それにしてもおかしなメンバーだ。
普段だったら絶対一緒にいない人たちばかりだ。
「え?」
小村が突然声をあげた。
「えいぁっっ」
聞き覚えのある高い声が聞こえて、同時に何かがこちらに向かってきた。
2つ・・・・かな
どおん
耳がおかしくなるような音。
煙。
みんな、叫んでたと思うけど何も聞こえなかった。
霞む視界の中にうっすらと人影が見えた。
沙羅ちゃん・・・?
煙もおさまってきて、少しずつ視界が回復してきた。
・・・・・回復しない方がよかった。
見たくない。
見ていられない。
ただただ赤かった。
パンを食べてたみんながいない。
ただただ赤い。
「あ・・・ぅ」
声。
誰か生きてるんだ。
助けたい。
でも
私にはどうにもできない。
助けも呼べない。
そのための足がない。
みんなと少し離れてたから、足だけ持って行かれたんだ。
ああ。
血が足りないみたいだな。
私も、死ぬんだ。
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