鈴谷えみは冷静だった。
人がどんどん死んでいって驚いたが、どんどん心は落ち着いていった。
沙也先輩やみんなが死ぬところも、道路に落ちてた死体も見た。
自分だけ生きてることに少し罪悪感を覚えたりした。
でもやっぱり死にたくない。
どこが安全か考えて進んだ。

みんなどれくらい残ってるんだろ。

役場に来た。
確かこの辺には圭治先輩の家があるんだっけな。


たっ。たっ

足音が聞こえた。
多分役場の裏の道だな。
ポケットの中の武器を握りしめた。
小さなスタンガン。
近くに行かないと意味がないけれど、無いよりはましだ。

「あっ」

現れたのは伊勢みさきだった。

「えみ先輩」
「ごめんっ動かないで」
「へ?」
こちらに駆け寄ってくる伊勢を止める。
「一応、ね。みさきだって見たでしょう?いろいろ。正直、恐いんだ」
「あ、あー。そう、ですよね・・・。じゃあ」
そう言って伊勢は鞄から自分の武器であるボウガンを投げ捨てた。
「はい」
「本当に、何もする気ないよね?」
「あったりまえです」
正直恐かったが、ひとりよりも、二人の方が安心できそうだ。
私はみさきの方に歩き出す。

「あ、先輩のどかわきません?」
唐突だった。
「え?あーまあね」
「あっちで壊れた自販機見つけたんですよ。」
伊勢は私の後ろを指さした。
「ほーう」
「取ってきますね。」
「え、ありがと」
そう言って微笑むとこちらに向かって歩き出す。


「先輩はそこで」

あと50センチですれ違うというところで
伊勢は重心を前に移動して


「え」



ナイフを鈴谷の腹に突き立てた。


「休んでてください」


力が抜けて自分の方に倒れた鈴谷をアスファルトに寝かせ、
微笑んだ。



そして彼女は学校へ向かった

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