「まじか・・・」
藤崎美嘉はそれを前にして唖然とした。
戦車、ってやつか。
藤崎の鞄には武器の変わりに鍵と地図が入っていた。
地図に記された場所は田んぼ道から林ばっかりの道を奥へ奥へ行ったところにあった。
大きな車庫。無理矢理シャッターをあけた。
はしごを登って入るようになっている。
「ひびきちゃん、まってて?」
中のつくりは乗用車に近かった。
目につくところに紙が貼ってあった。
横書きで文字が書いてあった。
・・・朝の字だ。
『ぷれぜんとふぉーゆー♪
どうだいこの戦車?
藤崎ちゃんのために1時間もかけて作ったんだからねー
えっと操作は簡単☆
ゴーカートみたいなもんだから
じゃ!がんばってね♪』
相変わらずふざけてんなぁ・・・
「先輩ー?」
下からひびきの声がした。
「あ、まってて」
手紙を持って降りる。
「この鍵、これのだ」
「まじですか」
「うん。」
少し眺めた後、はしごに登る。
「先輩?」
「とりあえずのってみよ?ついてきて」
「え・・あーはい」
運転席に座る。
前後左右が見えるモニター。
ハンドル。
アクセル。
ブレーキ。
本当に簡単なつくりだ。
アクセルを踏むとゆっくりと動き出した。
* * * * * * * * *
「ねえ」
川野が言った。
「本当、なのかな。みんな死んじゃったって。和君も、ふくも、さやも」
つい何時間か前のことを思い出す。
いろんなことがありすぎて、まだ処理しきれていなかった。
「・・・あのさ」
言いたくはない。
でも、どうせ後で言うのなら
どうせ、ふたりとも知るのなら
「小田、死んだよ」
今言ってしまう方が、いい。
「え」
「叫び声がきこえてさ、走ってったら、小田が倒れてて、血ぃ吐いて・・・」
なんて現実感のない。
夢なんじゃないかとおもう。
夢ならどんなにいいだろうと思う。
「さやは・・・学校の」
「じゃあ、あれは」
「うん」
誰も泣かない。
仲間が死んだのに
もうあえないのに
泣くことすらできない。
* * * * * * * * *
操作はゴーカートでも速さはずっと遅かった。
「なんかさ、目立つ上に遅いってどうなんだろうね」
「あーきっとその分強いんですよ」
「そうかなぁ」
「あ!なんかボタンありますよ」
引田が指さしたのは、赤・黄・緑・青の丸いボタンだった。
「れー・ざー・びー・むですかねぇ」
「・・・・おしちゃえ」
「ええっっ??!」
「どうせまたどうしようもないって」
「まじすか?!」
「まじまじ、ほら」
「え、じゃあ」
かちっ
どごおおおんん
「「うわあ」」
ハモった。
モニターを確認すると、進行方向にあった木とか、建物とか、障害物の一切がなくなっていた。
* * * * * * * * *
遠藤沙羅は走っていた。
人気の少ない農道にはいって、声が聞こえた。
角を1つ曲がった商店の方だ。
そっとちかずいてのぞいてみると河島美和と浅田利香と井上亜実だった、
鞄のチャックをあけて、中の手榴弾を手に取る。
ピンを抜き、準備をする。
そして3人にむ
どごおおおん
候補者残り26人
* * * * * * * *
遠くで何か音がした。
「ねぇ変な音したよ」河野あけ。
「あ、ほんとだ、聞こえる」小名木百合。
「見に行こう」
「うん行く」古谷里沙。
次の瞬間視界が白くなって
次の瞬間
3人はいなかった。
候補者残り23人
* * * * * * * *
ピピピピ
モニターから電子音。
のぞき込むと
アサダリカ
イノウエアミ
カワシマミキ
オナギユリ
コウノアケ
フルタニリサ
名前が増えていた。