榊あゆと太田さなは走っていた。町役場から逃げていた。
太田の武器の爆弾を地面に落としてしまったところ、
「カチカチカチ」と音がし始めたのだ。



カチッ

ぴたりと音がやんだ。
「え?」
「たすかっ」
2人は振り向いてしまった。
立ち止まってしまった。


残り21名


* * * * * * * * 


ところで、保志の家は町役場に隣接している。
太田の爆弾の被害の範囲はかなり広かったので、もちろん彼の家も巻き込んでいた。
保志と青木のいた部屋は半分以上崩れてしまっていた。

「けいじっっ!!けいじどこっっ!!???どこにいるのッッッ?!」
青木は軽く頭を打って気絶していたようで、気づいてからの惨状に混乱していた。

がた

音。近づくと机(だったもの)が倒れていて少し動いていた。
おそるおそる動かす。
案の定保志が倒れていた。
「うッ」
何かの破片で切ってしまったのだろうか、手首に深い傷ができていて、ものすごい量の血が出てしまっていた。
誰が見てもやばい。今も血は止まらず出続けている。
「圭治?けいじっっどうすればいいの?!」
「・・んぐぐ・・うるさい」
「圭治!!」
まだ意識はある。うっすらと目を開けて青木の姿をとらえている。
「んにゃー・・・オレもうだめだわー。すっげねみー」
「え・・ちょっなにいってんの」
「何も感じなくなってきたし」
「そゆこといわないで!!」
青木はまた泣いていた。
「なんとか!何とかするから!!」
「あー・・・あんがとなあ・・・」
めんどくさそうに、でも少し笑いながら目を閉じた。
そして動かなかった。
血は、とまらない。

1時間がたった。

青木には、どうすることもできなかった。

保志は、動かない。

だいぶ冷たくなってきている。
「嘘・・・嘘だよね?ねえっっっ?!!」
返事など無い。

そこで青木は思い出した。
自分の武器、回復魔法。

「・・・・・・・よし」

瓦礫のなかからステッキを探す。
損傷は無いようだ。
両手で前に突き出すように持つ。

この時彼女は左手の痛みに気づけなかった。
魔法で治した物はすべて自分に返ってくると言うことに。


光は保志の体を包み、
赤色が青木の手首から広がった。


候補者残り20人