バス内はいつもどうりに騒がしい。
長時間の移動で寝ているヤツもいるが起きて騒いでいるヤツの方がずっと多い。
マシンガンのようにしゃべり続けるヤツ。歌うヤツもいる。
俺の隣の席には合奏で使う譜面カバーが置いてあって、人は座っていない。通路を挟んだ隣にはサックスパート3年女子2人。
一番仲のいい原野の席は近くない。暇だ。寝ようとおもっても、あの歌が、沙也がうるさい。
エンドレスで大塚愛なんてうたいやがって。アレは本人が歌ってなんぼだろうに。しかもなんだあの音程。吹奏楽部の恥だ。
くそ。寝れねえっ。
「しょうさん、しょうさん」
寝ぼけた、森に住む黄色うテディベアのような声。眼鏡をかけた短髪。そして男子の青いネクタイ。小田だ。
「ねぇ、しょうさんてば」
「ん なんだ?」
「ぶぅーもういいですよぉ。せぇっかくコレあげようと思ったのになあ」
と言いながら彼は菓子袋をふる。
「おっやっさしーじゃん小田あvv」
ばっと菓子袋を上に上げる小田。
「あんあんだよ、くれよ」
「やぁですぅ」
「いーじゃんよお。なんでだよ」
「なんでじゃないですよっ何回呼んだと思ってるんですかぁっ」
彼は精一杯怒っているようだがいまいち迫力が無かった。
「くれようぅ」
「・・・・・わぁかりましたよ。はい」
「っさんきゅーっっ俺小田大好きvvいい後輩だよ〜」
「気持ち悪いですねえ」
そうだった小田が後ろにいたんだ。わすれてた。
と
まわりが静かになっていることに気がついた。
部長が何かいったのかとも思ったが、違うようだ。立ち上がって確認したが部長は寝ている。
部長だけじゃない。先生も沙也も、サックス2人も、さっきまでしゃべってた小田木も、だ。
自分以外みんな寝ていた。
ふっと足の力が抜けた。自然にいすに座る。
眠い。すげぇ眠い。
寝ようと思ってたんだし、静かになったのはちょうどいいけど。
これは流石におかしくないか??
なんだ?
考えようとしたけれど、睡魔に負けた。
シューっと空気を送り出す音が聞こえた。
目が覚めると、そこは教室だった。
・・・・学校、だがいつもいる学校ではない。内装は同じでも、少し縦長で一回り大きい。
周りを見ると横5×縦10で机が並び、その1つ1つに吹奏楽部員全員が座って頭を伏せている。どうやら眠っているようだった。
ココは、なんだ?
「ん?あぁ起きたの」
教卓のほうから声がした。のんびりとした口調の聞き慣れた声。
そこには朝がいた。
朝は同じクラスで、部活は違うけれど割と仲がいい。休み時間とか、集まってしゃべるグループのうちの一人だ。
裸足に制服という格好で、教卓に腰掛けている。
さっき見たときはいなかったのに・・・・いつからいたんだ?音もしなかった。
「やっほぅ秋本、おっはぁ☆」
「・・・お前、なにしてんだよ。てかここドコ?」
「んーそれはね秘密だよ♪」
「はぁ?」
「ふふふ、あ。みんな起きたみたいだね?」
残りの49人もみんな起きあがっていた。
みんな口々に「今日ホール連じゃないの?」とか「ドコ」とか言っていた。寝ぼけて「ついたのー?」っていってるヤツもいた。
ぱんぱん
朝が手をたたく。
「はぁーいっみんなこんにちわぁー」
やっとみんな朝に気づいたようで、前をむいた。
「何お前なんでいんの?」
「ドコだよここぉ」
同じしつもんをする。
「あっははー、じゃぁ発表しようかぁー♪簡単にいうとさ
今日はみんなに殺し合ってもらおうと思うんだよ。
ホラ、あるじゃんそういう映画☆」
「は?」みんなハモった。少しの沈黙。そしてまた騒がしくなった。
「はいはーいっ冗談じゃないんだよー真面目にきこーっ」
ぱんっ。とまた朝が手をたたく。
すると誰もしゃべらなくなった。いつも絶対静かにならないのに・・・。
ってか、体が、動かない・・・?
「んとねー正確なことは忘れちゃったんだけど、3日から1週間くらいかな。そんくらいで地球がなくなっちゃうの。人類滅亡?ってやつなのさ。
でもさー、こんだけ栄えた人間様々、いなくなっちゃうなんてもったいないじゃん。だからぁ何人か別のところに移して残そうと思うの。
で、この50人の中から1、2・・まあ多くても4人位をえらぶのさ。
君らは選ばれた存在ってワケね。
選び方は、さっき言ったとおり殺し合い。んーまぁほかの方法で決めたとしても、残った人はどーせ死んじゃうんだし。てっとりばやいじゃん」
そこまで言うと朝は黒板を向き空中に指で何か書き始めた。
すると、触れても、チョークすらもってもいないのに黒板にはチョークの線がうかんだ。
朝がかいたのは地図のようだった。
「いやー軍艦島みたいなの探したんだけどさー。
なかなかいいのなくてね。作っちゃったよ☆だからここは日本じゃないんよー」
こいつ何いってんだ?前々から変なヤツだと思ってたけど、ついに狂ったか?
朝はくるんとふりむいた。
「あー、いま誰かおいらのこと『狂ったか?』ってかんがえたでしょー??狂っちゃいないよー。もともとだよー。
いってなかったっけー、おいらは人じゃないんだって」
「じ、じゃあなんなの?」
絞り出したような声で聞いたのは川野ありさだった。
もともとこんな声では無い、がさっきから俺もかんじているこの力でそうなったのだろう。
「あっれーそれも言ってなかったっけ?おいらは神なんだよー。ゴット。世界の創造主だからこーやって行き残す人えらんでんじゃん。
殺し合いなんて民主的なことするのも、おいらの優しさなんだから感謝してよね」
そして朝はしゃべりつづけた。
「ここはねーこの地図みたいに半径4`くらいの島になってます。まー周りは海じゃなくてなんか、ちがうものかもしんないけど。
建物のモデルは我がふるさと*****だよーほらここも**中っぽいでしょ?で」
ぱん
朝の手をたたくのと同時に、目の前に黒い袋が現れた。
「みんなへのプレゼント♪その中には武器的なものとメット、地図、コンパス、食料がはいってるよん。それで生き延びてねv」
みんな袋のサイズはまちまちだ。俺のは机より少しおおきいくらい。
「スタートは、みんなが配置についてから私が防災無線かなんかで流します。新情報とかも、気が向いたら流すよ。
まー首輪つくってないしややこしいブロック制限はないよ。
気まぐれでやってるから軽い気持ちでのぞんでくださいな☆神頼みとかする必要ないから、神おいらだし。無駄だよん。
あっあと大事なこと忘れてた!!地球がなくなるリミットまでに5人以上生き残ってたらおいらはそいつらも地球に置いていくよ。仲良くめつぼーしてねww
でもそれはちょっとかなしいかな、おいらにも心はあるからなぁ。がんばって殺し合ってねw」
なんなんだこいつ。マジなのか?
「あ!もう時間ないわースタートしちゃいまーす。遺書とかいらないし」
ぱちん、
朝は指をならした。
次の瞬間、みんなの姿はなくなって自分だけひとり林の中にいた。
袋は横に落ちている。
ざーっと防災無線のおとがした。
しばらくすると珍しくはっきりとした朝の声がきこえた。
「それでは
皆さん
始めてください」
ブラスバンドバトルロワイヤル 開始
候補者50名