鈴木沙矢は瀬川芽依と小倉やよいと車の全く通らない道の真ん中を歩いていた。
沙矢の右手には、小学校の運動会で使うような拡声器が握られていた。

これは朝の悪戯だ。
みんな大事な仲間なんだ。誰だって殺し合いなんかしたくない。
呼びかければこんなことやめてくれるはずだ。

彼女たちは山の方にある運動公園から学校へと向かっていた。
学校にはきっと人がいる。
そこで呼びかければいいんだ。
20分くらい歩いて、やっと校門前に着いた。
「よっしゃ、いっちょやるよ。芽依ちゃん、やよいちゃん」
「はい。やっちゃってください」
「沙矢先輩は頭いいですねー。効率いいー。あとでやよいにもそれ貸してくださいねー」
いつもと全く変わらない会話だった。
「ええっと・・・すいっち・・・」
『あぁあったあった。これ入ってるよね。あーあー』

* * * * *

『あーあー』
マイクを通したような沙矢の声が聞こえた。
小田から離れて、もとの場所、学校の裏の林に戻っていた。
・・・・・・んー何だろうこの状況。前に見たことあるな。デジャヴか・・・・ああバトロワだ。
たしか、あーやってメガホン使った奴が殺されるんだよなぁ・・・・・・・・・・・・・・!!!
「でもなー、流石に殺す奴はいねぇよなあ。」
と、言った瞬間小田の顔が目に浮かんだ。
人が死ぬ、ということはすでに起きてるんだ。
「・・・・でもあんなことできそうな奴はいねぇよ・・・・・・あ」
いた。
「やぁっべぇ!!!!やめろ!やめてろよ馬鹿沙矢!!!」
秋本はバックをひっつかんで沙矢が見える場所を探した。

* * * * *

『みんなーっっっ!!聞いてー!!!!こんなの全部あいつの冗談だよーっっ!!!』
沙矢の声が聞こえるが、引田ひびきは学校前の草むらの中で黙っていた。
もちろん自分だって同じ考えだ。冗談だと思いたい。
だがもし、もしゲームに乗り気の人がいたら、前に出たとき最高の標的になってしまうだろう。
『早く出てきてー!!』
どうしよう。

* * * * *
「みんないないんですかねぇ」
「うーん」
と、
「沙矢先輩!!!」
自転車小屋のあたりから金城凉子と浅野由比が走ってこっちへ向かってきていた。
「よかったぁー!!すっごい不安だったんですよお!!」と金城。
「ほんとに2人はこころぼ」
そこで由比の声は遮られた。

ダダダダダダダダダダ

低い音そして紅。
2人はみるみる紅に染まりそして倒れた。

「りょうこちゃん!!?ゆいちゃん???!!!」3人は駆け寄ろうとした。

ダダダダダダダダダダダダダダ

また。
3人も倒れてしまった。

「え?!何??何なの!!!い、いやああああっっっっめ・・めいちゃん?!!やよ?!りょうこちゃん???ゆいちゃんん」
足を打たれた沙矢は叫んだ。
頭や心臓を打たれた4人に反応はない。
「いやっだっっ!私死んじゃうのっ?みんなっっみんなは死んじゃったの??めいちゃんっっっどこ?どれ?答えてっっねえお願いだから!!一生のお願いだか らだれでもいいよ!!!答えてよおっっっっっっ!!!!しんじゃうよおお!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいい!!!!!!しん じゃっっ助けてっっっだれかたすけてたすけてたすけて???!!!!!死にたくないんだよしに」

どんっ

低音と同時に、沙矢の眉間に穴が開いた。

校門前は真っ赤になった。

* * * * *
引田はうずくまっていた
「う・・・うっっ」
目にいっぱい涙を溜めて、吐きそうになりながら俯いていた。
ガサ、と後ろから音がした。
「ひ・・びきちゃん?」
藤崎美嘉が立っていた。
「う、うわ大丈夫??どうしたの?」
藤崎は引田の顔色の悪さに驚いていた。
「あ・・・あ・・・さや、せ、んぱいが」
「え?沙矢?        う」
校門の異常に気づいた藤崎は思わず1歩退いた。
泣きそうだったが、なんとかこらえた。

* * * * *

「・・・・くそっ馬鹿沙矢がっっっっっ!!!」
校門の方を見て秋本はただただ立っていた。

* * * * *

「・・・・うーん。弾、使いすぎかな?」
学校の3階。グラウンドと反対側にある小さな倉庫のような部屋。
そこの窓から身を乗り出して、さっきまで無かった大きな赤い湖をみて関口は呟いた。
「ん。まーいーか。だいたい感じ掴んだし」
そういって窓から離れる。
自分の武器の小銃。小田のマシンガン。馬鹿コンビのライフル。
それらを床に並べて嬉しそうに眺めた。
大好きな銃器、しかも実弾の入ったものがいま自分の手元にある。
「ふふー♪」
幼く無邪気な笑顔で、小さく鼻歌を歌いながら整備を始めた。


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