バレンタインの話

「ねぇ、ゆんは本命、もちろんあげるんだよね?」
「は?」
2月10日。音楽室。楽器の準備をしながら奈美としゃべっていた。
「は、じゃなくて。ほらぁ14日は何の日ですか」
「バレンタイン。」
「はぁいピンポォン。お菓子会社の策とはいえ、女の子にとってとても大事なお祭りですよ?
 そりゃねゆうさんも校舎裏かどっかで、顔が赤くなるのを隠しきれないまま、うつむきがちな感じで『受け取って』と手渡すんですよ。
 『スキ』とかかれたお手紙を添えてだね」
「何さ、その気色悪いシュチュエーションは」
「何じゃないですよ。あんたがこれ実行すんの」
「は?」
「だから。は、じゃなくって。あんたがやんの」
「いや本命とかいないから」
「まぁたまたあ。わかってるんだからねぇvv」
といって奈美は音楽室の反対側の方を見た。
功がいた。
「あぁ??」
「す・き・な・ん・で・しょっ」
「うわぁお前きもいよ。それまぢで」
「そんなことはわかっています。わざとやってんだから。んで?ごまかさないで、どうなのさ」
「無い」
「ぇえ〜」
功は違うパートにいる。中学で初めてあった。入学したばっかのときは身長、私のが大きかったのに、いつの間にか抜かされていた。
楽器は私よりうまい。演奏する姿はかっこよくないこともない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんとはスキだけどさ。
「つーまんーないーっ」
「おもしろがられても困る」
ぶー、とふくらむ奈美。
「なあにー何ぃ?バレンタインの話ー?私も入れてー」
先輩がやってきた。
「せんぱいぃーゆんが本命いるのに渡さないとか言ってるんですよー。」
「ぅわーダメだよぉ素直になんなきゃぁvvvせっかくの機会なんだし」
先輩は明らかに人の話を楽しんでいる。
「先輩はどうなんですか?チョコ作りますか」
「つくるよー」
「ぇ、誰にあげるんですか!!」
「んー友達?あと、この部の男子」
「本命はぁー無いんですかぁ?」
「ないなぁ。あ。じゃぁゆんちゃんと奈美と功ちゃん。カワイイ後輩ベスト3で。お前ら本命〜♪」
「あははー、ありがとうございますぅ」
「あ!!ゆんー。先輩ライバルじゃん」
「え、なにゆんちゃん功ちゃん本命?」
「あー、奈美また余計なことを。違いますからねっせんぱいっ」
・・・・・嘘ですけどね。
「そっかーじゃぁ私は手を引くよ。ただでさえライバル多いもんね」
「え」
「マジッスか?」
「そうょー。あの子もててるよ。まぁ男女のいる部活の性?顔悪くないしねぇ」
「ふーん」

うわ、ちょっと凹。そうだったんだ。

「あー2人13日うちこない?午後連習休みでしょ。チョコケーキ作るから。一緒につくろ」
「え!いいんですかぁ!」
「やった〜」
「あ、じゃぁ材料代おごったげるから本命を先輩に教えなさい」
「いいッスよ〜」
「うわ奈美軽っ」
「ゆんちゃんは?」
「えーだっていないっすもん」
「嘘つきさんは招待しません」
「・・・むぅ・・・わかりました」




昨日先輩の家で作ったケーキはとてもうまくいった。
コツを教わって家でもやってみたけど、さっきほどうまくいかなかった。
(先輩はプロですか。ナッペ巧すぎ。)
箱とリボンを、「本命にあげる」という条件付きでもらってラッピングした。
一応家でクッキーを作って友達用にした。ケーキほどうまくはいかなかったけれど。



2月14日。
友達からいっぱいもらって、またその場でお返ししていった。
(なぜか、なぜか先輩はこんな日に風邪を引いて休んでいた。変な人だ)
でも、功のとこには行けなかった。
先輩がいってたとおり、なんかスゴイもててた。もちろん大半は義理だろうけど。
義理ももらえないやつだっているというのに。
       なんか、近寄れなかった。


結局渡せないまんま下校になってしまった。
あーぁ明日2人に怒られるなぁ。

「ゆう?」

いきなりでびっくりした。
たんぼ道の中だったので他に人はいなかった。
振り返ると功だった。
「うはぁーっびぃっくりしたぁ」
「何だよ失礼だな」
「だってビビるじゃん」
「はは、ごめん」
「あれ?お前家こっちだっけ?」
「あー、今日ばぁちゃんちいくから」
「ふーん」

功の鞄はいつもよりふくれていた。
「いっぱいもらったねぇ、ずいぶんと」
「へへーん。でも全部義理〜」
「なんでわかんの?」
「なんとなく。っていうか俺が好きな子からもらったやつはきっと本命ー」
「なんだそれ。それじゃあんたの本命じゃん。」
って。好きな子いるんだこいつ。
「うん」
「訳わかんないな」
「あ、お前」
「何」
「俺お前のもらってない」
「いーぢゃんそんなもらったんだから。」
どうせ私はこいつの本命じゃないんだろうな・・・・
「えーもらえるモノはもらうのーハラ減ったし。あまってんだろー」
「うー。ぢゃ、はい」

・・・・・・・・・・・わたした。私あげちゃいましたよ?

「さんきゅ♪」
「先輩と作ったやつだから味の保証はあります」
「ぅわーきれいにラッピングしてあんな。」
 そら本命ですから。
「まぁねぇ」

よっしゃっ

「ん、なんか言った?」
「んにゃ、独り言」
「そうか」

end


バレンタイン前にこんな話ばっかしてました。
んで思いついたネタ。
両想いオチ。
先輩は私な感じで。こんな風に後輩さんの役に立ちたいなぁ、という願望をこめて。
登場する後輩3人のモデルは私の後輩です。
まぁこんな関係では無いですけれども。
ゆうはほんとにまんま。功は、だいぶいぢりました。こんな子ではないです。

2005/02/21